昨晩はポーンサワンに「明日は今日行った adventure road へ自転車で行きたい(もちろん僕らだけで)!」と伝えて別れた。すると今朝,彼女は手作りの地図を作って持ってきてくれたではないか。かなり詳細に書かれていてびっくり。感謝してもしきれない。さて,今朝のポーンサワンさんは月曜ということもあって先生の格好。こう見ると別人(失礼?)だ。天気は曇りということで「It'a very good day for cycling !」。彼女は一足先に学校へ行くので一旦別れる。
美味しい朝食をいただき,映画「スリヨータイ」の3枚目を見終わった後(ちょっと長いような気もするけれど,それに見合った内容で歴史好きにはお勧めの映画。といっても日本語字幕のものはないのかな),9時過ぎに僕らも出発。ポーンサワンさんの地図を片手に進むことにする。まずはアントーン市街。人口2万5千といってもここはアントーン県の県庁(県じゃなくて州かな?)。朝のラッシュはかなり激しく,道路の横断に苦戦。タイには信号があっても「左折だけはいつでもOK」という仕組みなのだが,これは便利な気もするけれど裏を返せば自転車には超危険。車がとぎれるまで渡れたもんじゃない。「今日はそんなに走らないだろうからメットは置いていこう」ということでメットを置いてきてしまったのだが早くも後悔。たとえ近くを走るだけでもメットは必須だ。
さて,今日の目的地はアントーン市街の北西部。まずはタイ北部のチェンマイへと続く国道309号線へと移り,3キロほど進んだところで一つ西への分岐を発見。「ここかな?」と思うが,曲がるにはまだ早い気がするので見送ることに。・・・しかし更に3キロほど進んでも地図に書いてあるような分岐は見つからない。「やっぱりさっきのところか!」と引き返し,国道から県道へ。309号は幹線道路ということで交通量のそこそこ多い道だが,一歩県道へ足を踏み入れるとそこは別世界。バイクはそれなりに走っているが,車は激減。
天気は朝の曇り空から一転し,さんさんと日が降り注ぐように。ヘルメット無しで来たことにここでも後悔。暑くはなってきたが周囲の雰囲気はかなり良い。電線にはアオショウビン,田圃にはサギ類とアジアコビトウ,シロハラクイナ,オウチュウ,タカサゴモズ。数キロ進んだところでダートに入ると車ゼロ,鳥たっぷりの天国のような道になる。田圃にはインドトサカゲリが「パタターヤ」と鳴きながら飛び,ヨシゴイやスキハシコウも見られる。
ところで,Birder(野鳥の専門誌)などでよく見かけることなのだが,日本で見られる「夏鳥(冬を東南アジアなどで過ごし,繁殖のため初夏から日本を訪れる鳥)」が最近激減しているという。日本国内の環境悪化なども原因の一つだが,「東南アジアでの乱獲」も深刻な問題のようだ。焼き鳥のために小鳥類,ちょっと大きな鳥の丸焼きなどにはサギ類なども混じっているだろう。実際,タイの屋台街などでは鶏肉をたくさん見かける。地元の人が生活に困らず,乱獲を減らすにはどうすればいいのだろう?ここで鳥を見ているとそんなことも頭をよぎる。
さて,実は初ヒットであるヨシゴイの写真を撮ろうとするのだが,三脚が(特に雲台が)ダメで鳥をカメラに入れるまで時間がかかりすぎて全然撮れない。今回持ってきた三脚は,軽量化を図るためスリックのグリーンシャンク(1.2kg)。うまく撮れないのはわかっているのだが未練が残り,これで時間を食ってしまう。撮れない撮れないと言いつつダートを進むと,今度はどうやら行き止まりのよう。時間も11時を回り,おなかも空いたので来た道を戻ることに。昼食は県道沿いの食堂にてセンミー・ナーム&ペプシ。道路沿いの電線にはアオショウビンが止まり,良い雰囲気(だが,写真は撮らせてくれない・・・)。それにしてもご飯が美味しいのは本当に幸せだ。食後は県道をまっすぐ進むことにする。
すると,昨日のアドベンチャーロードへ。車はもちろん通らず,辺りには多くの鳥。やはりこういうダートを走るのはバイクも楽しいけれど,僕にとってはそれほどスピードのでない自転車の方が気持ちがいい。楽しく進んでいくと,すぐに昨日訪れたWat Knn Inn (でかいブッダ像があるところ)に到着。あれ,以外と短いコースだったなあ。ちょっと変な気もしたので,ここでポーンサワンさんの地図を見る。
「・・・道を間違えた!!」
どうやら,今通ってきた道は,ポーンサワンさんが書いてくれた地図では「帰り道」として書かれていた。まあミスってしまったのは仕方がない。とはいえこのまま帰るのはちょっともったいない。そこで勘を頼りに北へ進み,適当なところで東へ曲がってみることに(でも,「勘」はちょこっと危険だったかな)。県道クラスの道を走っているとバス停発見。休憩がてらセアカスズメに遊んでもらう。
その後は出発時に通った国道309号線を目指してローカルロードを走る。するとインドブッポウソウ(青が美しい)を発見!姫はもう何度も見たというが,僕は初めて見る鳥だ。アオショウビンといいインドブッポウソウといい,青い鳥は警戒心がお強いようで,写真はトライしてみるがすぐに飛ばれてしまい残念。
しかしがっかりしている暇もなく,少し進むと今度は田植え前の田圃が見えてきた。水は入っている。「シギチが入ってるかな〜」そう思って覗くといましたいました。コサギ,アカガシラサギ,ジャワアカガシラサギ,チュウサギ,セイタカシギ,イソシギ,アオアシシギ,コアオアシシギ,アカアシシギ,インドトサカゲリ。距離があったので写真は諦めたが,一度に多くの鳥を見ることができ,かなり楽しむことができた。二人共しばしその光景に見入ってしまった。
しかしいつまでも見ているわけには行かない。なぜならば・・・
暑いから。
特に今日はメットを置いてきてしまったので(大反省),体力の消耗度合いが一段と大きい。水もちょっと心配になってきたので少しばかり急ぐことに。とはいえ勘で進む道の先に見えるのは国道ではなく川。川沿いには昔ながらの小さな村が。特に目立った村ではないのだが,すーっと引き込まれてしまいそうになる村。その村を通過中,目の前のパームに何か茶色い固まりが止まっている。
「フクロウ!」
オオスズメフクロウ だろうか,日中にフクロウを見るのは初めてなので嬉しい。まあ,彼にしてみれば僕らは昼寝を妨げる邪魔者といったところだろうけど。
村を通り過ぎ,川沿いに進み続けると国道309号に。良かった良かった,これで帰れる。どうやら,朝曲がったところより数キロほど先へ出たようだ。帰りは途中でハリオハチクイとセアカハナドリを電線で見てちょっと急ぎ足で。家に戻ったのは16時前。帰ってまずすることは,もちろんシャワー。さっぱりして外へ出ようとすると,ピアノの音が聞こえてきた。ポーンサワンさんの家で誰か弾いているのかな?
さて,姫とペンシーさんは家の入り口にあるテーブルで何かしている。どうやら,ペンシーさんがココナッツを切ってくれているようで,姫はココナッツミルクを飲んでいる。その味は水に近く,これなら水分補給としても十分に代用が聞くことを実感。パーム(椰子)ジュースじゃあちょっと辛いもんね。果肉の方はというと,こちらはスプーンでこそいで食べる。味がほとんどしないのでココナッツミルクと一緒に食べるようだが,こりこりとした歯ごたえはなかなか中毒性があり単体でもいける。たらふくココナッツを食べ,庭でリスを見ているとポーンサワンさんの旦那さんがやってきて,今度は庭になっているマンゴー(熟れてないやつ)を取ってくれた。
そのマンゴーの取り方だが,数メートルある棒の先にかごがついていて,それでむしり取る。いくつか獲ってくれ,ポーンサワンさんの家(テラス)に持っていって皮を剥き,そのまま食べることに。でも,熟れていないマンゴーはやっぱり苦手かな。サラダ感覚で食べられはするけど,甘みがない分たくさんは食べられない。旦那さんにはペプシをおごってもらい,しばらくテラスでのんびりしていると中から娘さんが登場。さっきココナッツミルクを飲んでいたときに聞こえてきたピアノ音は彼女が弾いていたみたいだね。一曲うちらのために弾いてくれ,やはりうまいピアノに感激。アットホームな家は本当に居心地がよく,感謝しきれない。
夕食は今日もペンシーさんと一緒に出かける。昨日とは別の近くの食堂でチャーハンとスープに,デザートはスイカ。こっちの料理は本当に美味しい。米は美味しいし,この暑さに辛い料理はぴったり。毎日のように書いているが,食べ物が美味しいのは本当に幸せだ。帰宅後は,今夜がここアントーンでの最後の夜ということでゲストブックに記帳。何から何まで感謝することばかりだが,この気持ちを言葉で伝えるのは難しい。こういうときこそ「タイ語をもう少し話すことができれば・・・」って気持ちになる。英語と日本語でしか書くことができなかったが,少しは気持ちを伝えることができただろうか。幸せな一日はあっという間に過ぎてしまった。
今日見た鳥
カイツブリ アオショウビン オオバンケン インドブッポウソウ オオスズメフクロウ(?) カノコバト ベニバト チョウショウバト シロハラクイナ アカアシシギ アオアシシギ イソシギ コアオアシシギ セイタカシギ インドトサカゲリ アジアコビトウ コサギ ダイサギ チュウサギ アマサギ アカガシラサギ ジャワアカガシラサギ ヨシゴイ スキハシコウ タカサゴモズ オウチュウ ニシノビタキ ホオジロムクドリ インドハッカ オオハッカ ツバメ ミミジロヒヨドリ ハリオハチクイ セアカハナドリ セアカスズメ スズメ シキチョウ
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