タイ 
8日目(3/9) -Ang Thong 二日目,超充実の一日-
このバイクに3ケツして走りました。

 昨晩のフェスティバルは夜遅くまで続き(家からもその大音量は聞こえた),今朝は今朝で5時台から爆音が鳴り響く。パワフルというか何というか,すごい国だ。そんな音の中ずっと寝ていられるわけもなく,6時起床。ペンシーさんは既に起きていて,庭で掃除などをしている。洗濯をしたいと言うと洗濯機を使わせてくれたのだが,これには厳重に鎖がしてあった。こっちで一般家庭が洗濯機を持っていることなんてそうないだろうからねえ。手洗いでも全然問題なかったので,これにはちょっと心が痛んだ。明日は「手洗いでいいです」と言おう。その後朝食。タマネギ入り卵焼きに赤カレー&緑カレー。食べきれないほどたくさんのご飯をいただき,感謝のしようがない。そして昨日に引き続き映画「スリヨータイ」を見る。 干上がった畑。雨期にはここで何が育つのだろう。

 10時前になるとポーンサワンさんがやってきた。 「映画見るのと外へ出かけるのとどっちが良い?」 そりゃあ出かけたいよ!昨日約束したことだしね。映画はまた夜以降ということにして,早速ポーンサワンさんの100cc HONDAバイク(Dream)に三ケツ,ノーヘルで出発!(これは別に珍しいことではない。町中には4ケツしている人もいる)。三人の総重量は推定200キロ。近くのガソリンスタンドで給油を済ませ(40B),田舎道ををバイクは進む。昨日「僕は鳥を見るのが好きだ」と言ったせいか,まず連れて行かれたのは田圃&畑の多い地域。

 今は乾季の終わりということで,耕作していない畑はカラカラに干上がっている。同じ場所でも雨季と乾季では全くと言っていいほど様相が変わるのかもしれないと思うと,今度は是非とも雨季に来たい!と思ってしまう。しばらく鳥を見るが,スキハシコウの群やサギ類,ハッカチョウのみなので移動。水辺の集落に移動し,枝豆(日本より小さくて茶色だけど袋いっぱいで5B!)を食べて一休み。ここではアオショウビン初ヒット!今後はあちこちで見ることになるのだが,やはり初めて見たときは嬉しいものだ。カワセミとは近いブルーとはいえ,雰囲気はまた異なってかっこいい。一目でファンになってしまった。 寺の外観。シルバーでも超派手!

 休憩後は近くのWat Chai Chan へ移動。このお寺,外観は黄金ではなく,銀色。これはこれでかなり派手だ。そして寺の中は全面ガラス張りで,シルバーのブッダ像がドーンと構えている。その周りにはガネーシャやシヴァの像などが立ち並ぶ。これが同じ仏教国の寺なのか?と目を疑うほど(しかもここは普通の街にある普通の寺)だ。ポーンサワンさんに「写真を撮りたいのなら撮って良いよ」と言われたのでここぞとばかりに撮りまくる。

 それにしても,こんな(といっては失礼だが)小さな街にも,こんなに派手で立派な寺があるとは驚きだ。バンコクの王宮に引けを取らないかも。きっと,全土にこういうお寺はごまんとあるんだろうなあ。そしてこのお寺,単なる寺にとどまらない。食器や武器,貨幣などの資料館も併設しているのだ。今日は日曜ということもあってか,地元の人で結構賑わっている(というか,観光客なんてほとんど来ないだろうね)。これだけで僕と姫は大満足。下手な博物館なんかよりよっぽど面白い。そうそう,日本の切手なんかもあった。 銀のブッダ。何から何まで派手派手だ・

 そしてそして,更に驚いたのは「天国と地獄コーナー」が境内にあったこと。こんなもの「日本では絶対寺に設置することなんてできない」という程残酷(?)な地獄コーナーと,対照的にきらびやかな天国コーナー。地獄コーナーには,現世で行った悪事が死後全て自分に返ってきている姿を表した像(牛や豚を無駄に食べて無益な殺生をしたために死後顔が牛や馬になってしまった人や,嘘をついたために舌を抜かれたり,殺人をしたために切り刻まれている人,閻魔大王に裁きを受けている人など)が所狭しと並べられている。これを見てタイの人は「地獄だけは行かないように,悪事を慎もう」と心に刻むんだろうなあ。

 とはいえ,日本人には「ちょっとやりすぎじゃない?」と感じる面もあったり。まあそこは文化の違いか。それ以外には,ブッダの一生を描いた絵が壁中に貼られてもいた。信仰の場であることはもちろんだが,そのベクトルは熱帯らしい(!?)ものだ。いやはや,ただのお寺かと思っていたけど今までで一番興味深く,楽しむことができた。 ガネーシャ。

 寺を後にすると,次は昼食。移動中,あちこちで(道路に面した広場など)ウェディングが開かれているのを見たのでポーンサワンさんに聞いてみると,タイの3月は日本の「ジューンブライド」にあたるようだ。さてさて,昼食はそのウェディング会場近くの食堂でカモ肉のクゥイッティオ(さっき寺で地獄絵図見たばかりだがいきなりのカモ)。これがうまい!あまりに美味しく,ポーンサワンさんにも勧められてお代わりしてしまった。食後は再びバイクにまたがり,Ang Thongでもっとも有名なWat Kun Inn(ワット・クン・イン)へ。ここは長さ50メートルの巨大ブッダが横たわっているワットとして有名。日曜ということもあってか,タイの人をたくさん乗せたバスがひっきりなしに来ていた。でも外国人は僕ら以外にはいなかったかな・・・。 「閻魔大王の裁きを受ける」の図

 さて,ここのブッダ像だが,確かにでかい!タイ一の長さと聞いたような来もするが,本当にでかい。今日は本当にびっくりの連続だ。周囲をのんびり歩き,フルーツ売りの屋台で一休み。ここではパームを食べた。椰子とは違い,これがナタデココのもと。味は・・・微妙かな(というか,果肉に味はない)。こいつからは砂糖が獲れるらしく,ジュースも飲んだがその甘いこと!姫は全部飲みきれなかった。ポーンサワンさんも飲みきれないみたい。

 そんな感じで休んでいると,タイ人の家族がやってきてポーンサワンさんと会話を始めた。僕も耳を傾けてみる。子供の教育について「小さい頃からピアノを教えると右脳が発達するから・・・」と話していたようだが,その98%は理解できず,無念(ところどころポーンサワンさんが英語で解説してくれたからなんとなくはわかったけど)。言葉はわからずとも旅は十分可能だが,やっぱりわかった方が一層充実したものになるよね。 リクライニングブッダ。

 会話終了後,「もう帰る?それともまだ回る?」と聞かれた。まだ回りたい気もしたが疲れもかなり来ており,明日以降のことを考えて「帰りましょう。」と応えると,ポーンサワンさんはちょっと残念そうにしていたが「OK. Go home !」となり,ワットを出発。ところが,すぐに帰るのかなと思いきや,道をそれてダートを走り始めた。「This is adventure road !」。確かにその通り。ダートだから所々がでこぼこしていて,そこを30km/h以上で走るために時折ジャンプする。3ケツでジャンプしながら走るのは,なかなかスリリングで楽しい! ポーンサワンさんと一緒に。

 周囲は田圃や沼,畑で鳥も多い。タカサゴモズが目を引き,アオショウビンも所々にいる。シロハラクイナは僕らを見るとそそくさと走り去り,警戒心の強いスキハシコウやアカガシラサギはバイクが止まると一斉に飛び立つし,オウチュウやインドハッカは日本のヒヨドリやムクドリのような感じでそこらじゅうの木に止まって鳴いている。至福のひとときだ。そんな楽しいアドベンチャーロードを走り,途中市場でペンシーさんのお土産の果物を買い,大満足で家に戻ったのは16時前。今日はポーンサワンさんの家をちょこっと覗かせていただく。中には入らなかったが,こちらも落ち着いた雰囲気のいい家だ。

 その後ペンシーさんの家に戻り,鳥チェックなどをしていると先程のお土産を切って僕らにもだしてくれた。そのお土産に買った果物とは「チョンプー(ジャワフトモモ)」と呼ばれるピーマンのような形をした果物。さくさくしていてみずみずしく,あっさり味は疲れたときにもってこい!梨とリンゴを合わせたような感じかな,二人ともすっかりはまってしまった(ペンシーさんへのお土産だったのに・・・)。 チョンプー。あっさりでさくさく、みずみずしい果物。

 チョンプーを食べ終わりしばらくするとペンシーさんに「夕食を食べに行こう!」と誘われたので,早速三人で出かける。彼女は75歳ということで歩みは早くないが,笑顔を絶やさず,時折真剣な表情で僕らに色々なことを伝えてくれる明朗快活なおばあちゃんだ。いつまでも元気でいて欲しいと心の底から思う。すぐ近くの商店でビールを買って涼しくなってきた道を楽しく歩き,着いたのは昨晩ポーンサワンさんと一緒に夜食をとった屋台。僕はバミー・ヘーン(中華麺つゆなし),姫とペンシーさんはバミー・ナームを注文したのだが,これがちょっと失敗。ここのスープは絶品で,僕もナームにしておけば良かったと後悔したのだ。まあ,それでも十分美味しかったけどね。そして先程買ったビールは格別のうまさ!ペンシーさんは一人で缶ビール1本飲んでしまった。すごい!会話は99%タイ語なのでほとんどわからないが,それでも気持ちは十分に通じる。くさい台詞かもしれないが「心のつながり」を存分に感じた1日だった。

 屋台ではポーンサワンさんと旦那さんにお土産のバミー・ナーム(熱々のスープ入り麺でもビニール袋に入れて持ち帰られるとはびっくり!)を買い,家へ戻る。ポーンサワンさんの家にお土産を届けるとペンシーさんは自分の家に戻ったが,僕と姫はそのままポーンサワンさんの家にちょこっとお邪魔することに。旦那さん(こちらは理科の教師だとか)も出迎えてくれた。家の入り口にはピアノがある。

 昨日少し話に出たことなのだが,ポーンサワンさんの娘さんは僕らと同い年で,日本人のインストラクターにピアノを習い,今はバンコクのヤマハで働いているらしい。そうは見えないが,タイでピアノを買えるということはかなり裕福(もしくはかなり無理して買ったということだろう)なはず。この国で「教師」という身分はかなり高い地位にあたるのかな。そんなポーンサワンさん夫妻に,姫がピアノを演奏。ビートルズやサイモン&ガーファンクル,「上を向いて歩こう」や「桜」など懐かしの曲を弾くと,とても喜んでくれた。これで昨日今日の感謝の気持ちも少しは伝わったかな(って僕は何もしてない!)。

今日見た鳥
カイツブリ アオショウビン カノコバト ベニバト チョウショウバト シロハラクイナ インドトサカゲリ アジアコビトウ コサギ ダイサギ アマサギ アカガシラサギ ゴイサギ スキハシコウ タカサゴモズ オウチュウ ムナオビオウギビタキ シキチョウ ホオジロムクドリ インドハッカ オオハッカ ツバメ スズメ


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