6時起床。相変わらずニワトリの声がうるさくて,嫌でも起きてしまう。朝食は昨日と同様日本人の彼と一緒に食べる。今日バナナパンケーキ(40B)を注文したが,やはり足りなかった。撤収準備をし,9時過ぎに彼と写真を撮って別れる。
さて今日の予定だが,本当はもう一日ここに泊まるつもりでいた。しかし,団体客が今日来るらしく,僕等はみんな追い出される(と言ってはちょっと失礼かもしれないけど)ことになったのだ。そこで今日の目的地としたのは,ここスコータイから南西30キロほどのところにある「ラームカムヘン国立公園(Ram Khamhaeng National Park)」。本当はタイ中央部にある,有名な「カオヤイ国立公園」へ行きたかったのだが,そこへ行くとゆとりのない日程になってしまうので,今回は諦めてスコータイから近くの国立公園へ行くことにしたのだ。
ところが困ったことに,この国立公園はガイドブックに紹介されていないマイナー(?)な公園。地球の歩き方に載っていないのは当然といえ,ロンリープラネットにも載っていない。昨日ネットで調べてわかったのは・・・
@名前の「ラームカムヘン」はスコータイ王朝の第3代王(まあこれは想像がつくけれど)であり,現在のタイ国王がここを国立公園に指定したということ。
A自然に関しては,植生は「乾燥常緑樹林(dry evergreen forest)」で,鳥に関しては150種以上が見られるらしいということ。
B宿泊施設はバンガローとキャンプサイトがある(料金表示はネット上では見つけられず)ということ。また,ゲストハウスの情報ノートにもここのことがちらっと書いてあったので,宿の姉ちゃんにも聞いてみたのだが「詳しくは知らないわ」とのこと。
結局これだけの前情報で出発することになったのだが,一番の問題は宿泊施設&食事。今回は荷物削減のためキャンプセットは一切持ってこなかったので,バンガローが利用不可だったりテントなどがレンタル不可,もしくは公園内に食堂などがなかった場合には日帰りということになってしまう。
そんな不安を抱きつつも101号線を南下して国立公園を目指す。この道は平坦で走りやすいのだだが,両脇に田畑が広がり,クリークや池があるので路側帯にはヘビやカエル,鳥の礫死体がたくさん転がっている。大学や集落の横を通り,101号と国立公園方面への分岐点(Kirimatという集落)に着いたのは11時前(スコータイからここまで20キロ)。これより先は集落があるかよく分からないので,ここで早めの昼食。学校の前に食堂が並んでいて,先生や僧も立ち寄っていた。
暑さでバテ気味の体を食事で多少なりとも回復させたあとは,目の前に見えている国立公園に向けて再出発。残りは15キロ。国立公園へ向かう道は,しばらくの間は101号同様平坦で走りやすくて,道沿いに小さな集落も幾つか見られる(食堂もあるようだ)。学校からは子供達が「ハロー!」の矢を乱れ撃ち。気分良く田舎道を走る。
しかし,国立公園手前5キロくらいからは舗装が少し荒くなり,3キロ手前からは登りに転じる。それもかなり急な坂(15%あるのではと思うくらい)で,気温も相まって2人ともバテバテ。おまけにビール瓶の欠片を踏んでしまい,日陰のない灼熱地獄の中でパンク修理というおまけ付き。こんなときは鳥でも見て少しでもリラックスしたいものだが,声はすれども姿は見えず(しかもどんな鳥の鳴き声か見当もつかない!)といった具合で逆効果。悪いときには悪いことが重なるものだ。
「早く休みたい!!」
その一心で激坂を何度か上り下りし(途中自転車から降りもしたけれど),管理事務所に着いたのは14時。35度を越える中での洒落にならないアップダウン,これは間違いなく今までで一番きつい道だった。姫は,傍目には限界ギリギリといったところ。よく頑張ったね。
さてと,とりあえず目的地には着くことができたのだが,次の問題は先程も書いた「宿泊施設」。もしもここに泊まれないような状況だったら・・・地獄だ。
管理事務所には英語が全く通じないおっちゃんと姉ちゃんが2人。タイ語会話集&ジェスチャーを使って,苦戦しながらもとりあえず「ここに泊まりたい」と伝え,宿泊施設について聞いてみる。そして,バンガローは1200,1000,500Bの3つがあり,テントは50Bでレンタルできて,キャンプサイトはここから山の中へ歩いて4キロのところにあるということをなんとか聞き出せた。しかし,テント以外に借りられる物があるのか(シュラフ,マットなど)聞き出すことはできず断念・・・。管理事務所の中をざっと見渡してみたところ,テントはあるがそれ以外のキャンプ用品などは見あたらないのできっと貸し出してはいないのだろう。
・・・ということで,キャンプは諦めて一番安い500Bのバンガローを見せてもらうことに。・・・しかし,部屋の前まで連れていってもらったはいいものの,鍵がかかっていて入れないではないか!「中に入れてくれ」と言っても「じゃあお金払って」と言われる始末。どうやら,チェックインしないと部屋には入れないようだ。それで500は高い!
「400にしてくれ」と言うとおっちゃんは渋っていたが,僕が折れないので諦めたのか無線を使い,誰かと話をしだした。するとすぐにボスらしき人が登場。しまった,追い出されるかな?ところがボスの返事は「OK!」。良かったぁ,400Bに値切り成功。でも,ここまでするべきではなかったのかもしれない。学生とはいえ向こうの人から見れば金持ちだし,ましてや税金を納めていない国の機関に対して値切るということは傲慢極まりないとも言える。旅行者の立場,国に対する態度のとり方,そんなことを考える一幕だった。
さて,無事(!?)に今夜の寝床を確保し,姉ちゃんに鍵をもらっていざ部屋の中へ。すると,そこではヘビのお出迎えに加え,天井にはヤモリがべっとり。・・・なんてことはあるはずもなく,10畳ほどの部屋にベッド3つ,布団付き,ファン有り。窓も充分広い部屋。トイレは共同(もちろんタイ式)でシャワーはなく,トイレの横に浴槽があって水をかぶるだけ。とはいえ,国立公園でこれなら充分。
荷物を降ろした後は早速水を浴びてみる。川の水を使っているのだろうか,とても冷たくて気持ちいい(でもいくらタイとはいえ,これを夜に浴びたら冷たすぎるかな)。そして食事。ここは管理事務所とバンガローの間に食堂があり,管理事務所のおっちゃんには「ここで何でも食べられるよ(ただし,タイ語なので自信なし)」と言われた。テーブルには地元の若奥様(?)が5人ほど集まってテレビを見ている。
突然現れた外国人への興味の視線を浴びつつ,食堂のおばちゃんらしき人に,「ご飯が食べたい」と伝える。
・・・しかし,返ってきた答えは「ご飯はない。菓子ならある。」というもの。
ショーック!!
目の前にはお釜があるのになんでないんだ!!外国人には作りたくないのか?それとも僕のタイ語が下手で通じてない?念のためもう一度聞いてみる。しかし,帰ってきたのは先程と同じ答え。あまりにショックで声も出ないが,どうしようもないので取り敢えずはアイスだけ買って済ませることに。もしかしたら時間がまだ早いからなのかもしれない。夕方また来よう。でもそれでもダメだったら・・・悪い想像ばかりが頭をよぎる。
まあ想像ばかりしても仕方がないし,夕方にはまだ時間があるのでビジターセンターへ寄り,公園内にあるネイチャートレイルを歩いてみることにする。乾燥常緑樹林とのことだったが確かにその通りで,サバナのジャングル(?)みたいな感じだった。肝心の生き物はというと,時間が悪いのか鳥はほとんど声もせず,トカゲやヘビなどもみられない。ぐるっとトレイルを歩き終わり,道路に出たところでブッポウソウを見て終了。
消化不良気味のまま部屋に戻ろうとすると,食堂前の広場に宴会セットを発見。どうやら,今日は地元の人たちの宴会が開かれるようだ。・・・タイミング悪かったな。だから食堂へ行ってもご飯ないって言われたのか。でも,だからといって引き下がっては食事にありつけない。洗濯後再度食堂へ。「ご飯はありませんか?」「ないよ。」「おなか空いてるんです。」「・・・」ということで,結局はチャーハンを作ってくれた。なんだかんだいっても親切なおばちゃん?なのかな。ビールと明日の朝食(クッキー,スナック菓子)を買い,部屋に戻って19時半に消灯。明日に備えて早めに寝たいところなのだが・・・外で開かれている宴会のために事はそううまく運ばない。ライブのようにステージを設置し,みんなで飲めや歌えや踊れやの大騒ぎ。特に歌声は遙か彼方まで響くほどの大音量。結局日が変わるまで宴会は続き,深い眠りに落ちたのはその後。これじゃあ鳥はいなくなってしまったかもなあ・・・・。走行距離は40キロ。
今日見た鳥
ブッポウソウ ベニバト チョショウバト カタグロトビ コサギ アカガシラサギ タカサゴモズ オウチュウ インドハッカ オオハッカ ムナオビオウギビタキ ミミジロヒヨドリ
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