6時起床。今日も3時台に俄雨が降った。携帯の気象情報サイトにおいて「ピンポイントレーダー予報」というのを見ることができ,「日付が変わった頃少し雨」予報がされていたために外で寝なかったのだがどうやら正解のようだ。しかし,テントの中は当然蒸し暑い。結局3日連続寝不足で朝を迎えることになった。
夜明けは晴れ。レトルトのビーフシチュー&パンを食べ,洗濯を済ませたところで昨日のおっちゃん(トラックの運転手してたって人ね)が再び登場。差し入れのパンをいただく。その後沖縄市に住んでいるという漁師夫婦が現れ「今日はここで漁すっかな〜」と言っていたので少し立ち話。
9時を回り,洗濯物も少し乾いたところで出発することにした。今日はテントを撤収し,辺戸岬を目指す。寝床は辺戸岬へ行ってから考えることにし,半乾きの洗濯物を自転車にくくりつけて出発!辺戸岬は沖縄本島最北端の岬。戦後,本土復帰を願い絶えずのろしが上げられた(もちろん復帰運動も)という場所だ。歴史的な意味合いからも重要なこの岬だが,僕等はそれ以外にも「アジサシのコロニーがないかな?」と期待していた。
さて,辺戸岬への道は(相変わらず)国道58号線を北上するだけ。長期休暇シーズンや週末は賑わう道なのだが,9月も平日となれば観光客はガタ落ちするようで,道はガラガラ。いつものように真夏の空のもと気分良く進む・・・はずなのだが,3日連続での寝不足のため頭痛に悩まされ,休み休み進むことに。
そうそう,辺戸岬までの道のりの途中にはトンネルが幾つかある。そのほとんどは長さも数百メートル程度でなんてことはないのだが,一番北にある「宜名真トンネル」は強敵。南から行くと上り&長さは1キロ以上あるので精神的に結構しんどいのだ。逆から来れば下りだが,くれぐれもトンネル内ではスピードを出しすぎないように注意したいもの。
そんなトンネルをやり過ごして辺戸岬に着いたのは11時。やはり観光客は少なく,広い駐車場に車が数台あるのみ。僕自身ここは4度目,姫も2度目なので岬は後回しにしてとりあえず暑さをしのぐためにレストハウスに直行。真夏の空は大好きだが,その中走るのはやっぱり疲れる。
しばし休憩した後,岬へ。期待していたアジサシはというと・・・完全に振られてしまった。2年前にはベニアジサシが舞っていたのだが(しかし,その時はあまり意識して見ていなかった)。時期が遅いのか今年はここにコロニーを作っていないのかは定かではないが,残念である。がっかりしたところで空腹感に襲われたので昼食タイム。
ここ辺戸岬にはレストハウスの中(2階)にレストラン,外に食堂が2軒ある(が,今日は一つしか空いていなかった)。外の食堂では以前食べたことがあったので,今回は多少値の張るレストランに行ってみる。ここで頼んだのは,ちょっと(かなり)贅沢に「地鶏琉飯Bセット1000円」という料理。
琉飯と聞いてピンとくる方もいるかもしれない。そう,これは奄美の郷土料理「鶏飯」とほとんど同じ。もしかしたらこの琉飯も有名なのかもしれないが,僕は今日までその存在を知らなかった(鶏飯は知ってたが)。・・・で,それはどんな料理かというと,
ご飯に鶏肉や錦糸卵,椎茸や海苔等を載せて,その上から鶏のダシが効いた熱々のスープをかけた,まあ言ってしまえばお茶漬けのようなもの。
これがなかなか美味しくて結構病みつきになってしまう。ちなみに奄美大島の鶏飯店では「スープと具は限りあるが(それでもまあまあの量)ご飯は食べ放題」というところもあったなあ(値段は900円位だったかな?)。満足してレストランを後にし,下に降りて休んでいると当然の如く眠気に襲われ,しばしダウン。観光客が少ないこともあって,レストハウスのソファーで1時間以上眠ってしまった(ごめんなさい)。
14時半を回ったところで辺戸岬を出発。今日の寝床は姫と話し合った結果「大宜味まで行って宿に泊まろう」ということになった。へたれと言われればそれまでだが,この暑さ&体調で今日もキャンプは結構しんどい。宿は一切使わない!なんて旅ではないし。離島情報には大宜味の民宿が1軒だけ載っていたのでそこに電話してみることにした。・・・しかし,携帯は圏外&公衆電話もない。道の途中で電話することにして,取り敢えず出発する。
俄雨のシャワーを浴び,追い風に乗って軽快に58号線を戻る。途中の集落で携帯が繋がるようになったので民宿に電話してみると,明るいおばちゃんが対応してくれた。ちなみに,何故このままやんばるをぐるりと一周しないのかというと,それは単に「疲れるから」。やんばるの東海岸は山と谷の繰り返しが50キロ程続く,なかなかの難所なのだ。おまけにこの暑さでは距離を稼ぐのは更に難しく,日程的にも厳しいものがある。
大宜味の「民宿平良」に着いたのは16時半。ここは1階が家になっていて宿は2階部分。トイレ,シャワーは共同で,洗濯機は自由に使用可能(洗剤有)。部屋はテレビ,エアコンつき。共同の冷蔵庫やポットも置かれていて素泊まり2500円と,かなり快適な宿だ。おばちゃんも気さくな方で非常に好印象。
荷物の整理&一休みした後,17時半からは先日も行った喜如嘉で鳥見。しかし夕方ということで農作業をする方が多く,見られたのはムナグロ,リュウキュウヨシゴイのみと寂しい結果。真っ昼間に訪れるというのも微妙かもしれないが,夕暮れ時もあまり適していないかも。もちろん,水の入った田畑が少なかったのが一番の原因なんだろうけど。
ところが,そんな時にも嬉しいことはあるものだ。鳥見を終えてさあ帰ろうかと思い,空を見上げると・・・
かなとこ雲ができてる!
かなとこ(鉄床)雲とは,積乱雲(入道雲)の一種。雲が存在できるのは地上約11kmの高さまでの「対流圏」と呼ばれる領域までなのだが,発達した積乱雲がモクモクとその11km程の境界まで上昇していった場合,そこから上へ行くことができずに(ちなみにその上は「成層圏」という)横へ広がっていく。すると雲のてっぺん(雲頂)は平らになり,そのような雲を特に「かなとこ雲」と呼ぶのだ。ちなみに鉄床とは,
「鍛造や板金で,加工しようと思う金属をのせる鋳鉄製または鋳鋼製の作業台(三省堂 大辞林より)」。
このかなとこ雲,積乱雲が発達しやすい夏には見られやすい(?)ものなのだが,実際に見たのはこれが初めて。雲が好きな僕等にとっては感動もので,二人して「ウォー!」と歓喜の叫び。
真っ暗になるまで見ていたい光景だが,夕食&明日の朝食を買いに行かないといけないのでそうもいかない。夕日に染まるかなとこ雲を横目に国頭まで行こうとする。しかし,山の方からは真っ黒な積乱雲が押し寄せ,既に国頭方面では雨が降っている模様。この分だと大宜味でも雨が降るのは時間の問題。
迷わず引き返し,雨宿りも兼ねて大宜味の道の駅へ行くことに。しかし,レストランで食事でもと思い道の駅に着くと,なんと今日は閉店日。仕方ないので大宜味の集落にある共同売店でカップ麺やビールを買い,急いで宿に戻る。
何とか雨からは逃げ切ることに成功し,その後は食事&洗濯&3日ぶりのシャワーをして気分良く床に就く。宿のすぐ側にある山からはリュウキュウコノハズクの声。走行距離は62キロ。
<今日見た鳥>
ダイサギ コサギ クロサギ リュウキュウヨシゴイ バン ムナグロ ダイゼン キアシシギ ツバメ リュウキュウツバメ リュウキュウコノハズク(声) キジバト ヒヨドリ イソヒヨドリ コゲラ セッカ ウグイス スズメ ハシブトガラス
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