5時起床。今日はやんばるの森で鳥見をするため,5時半にテントを出発して道の駅でトイレ,ファミマで軽く朝食を済ませ,いざ山へ!6時前になると空はすっかり明るくなり,辺りではアカショウビンの「キョロロロ・・・」という声があちこちから聞こえてくる。比地大滝横の道から登り始めたのだが,いきなりの急勾配に2人ともびっくり。車では何度も通ったことがあったし,僕自身は2年半前自転車でこの道を走っているのでその勾配は覚えているつもりだったのだが,改めて登るとやはりきつい。
せっかくの鳥見なので自転車は押して登っていく。相変わらずアカショウビンの声は聞こえるが姿は見られない。姿を見せてくれるのはヤマガラ,シジュウカラ,ヒヨドリ達。そんな中アカヒゲでも出てきてくれないかな〜なんて思いながら歩いていると空は急に暗くなり,かなり激しいスコールに襲われた。出発時は晴れていたので2人ともレインスーツはテント内。木の下に避難したが10分以上雨は降り続け,びしょ濡れになってしまった(まあ,シャワーと思えば冷たくて気持ちいいんだけど)。
雨のおかげで体温が下がり,気分も少し良くなったところで歩き始めるとサンショウクイ&コゲラの群を発見。「サンショウクイはスマートだねぇ」なんて話ながらしばし見入っていると,奥の方からキツツキのドラミングが聞こえてきた。「まだ見えていないコゲラがいるのかな?」と,僕はそれ程気にしないでサンショウクイの方に気を取られていたのだが,その時姫が言ったのは・・・
「ノグチゲラ!」
林道に入ってからそれ程進んでなかったので(2キロくらい)こんなところにいるとは思ってもいず,ちょっとびっくり。逆光で雌雄は分からなかったが若っぽかった。その後ももう少し進んだ地点で別の個体を発見し,ノグチゲラに関しては声3カ所,姿は2個体となかなか満足のいく結果だった。
ノグチゲラ以外はというと,カラスバト,ズアカアオバトは姿は見ることができなかったが声はあちこちから聞こえ,アカヒゲは大国林道に入ってから何度か目にすることができた(この時期にしては少な目だったかな)。あと,アカコッコっぽい鳥(ってアカコッコがいるわけないか・・・)も見たのだが結局何か分からず。あとはサンコウチョウの囀りを聞いたくらい。
与那覇岳入り口では虫屋の兄ちゃんに会い,ここで時間は10時半を回っていたのでそのまま森林公園の横を通ってテントに戻ることに。すると下っている途中でリュウキュウヤマガメ発見!両爬にはまりつつある姫は大喜びだった。ちょうど雨上がりというのが良かったんだろうねえ。
さて,当初の予定よりちょっと時間がかかりすぎてしまった鳥見を終え,テントに戻ったのは11時過ぎ。朝食べたのはほんの少しだったので2人共お腹ペコペコ。早く食事にしようと思いテントに近づくと・・・隣で地元のおっちゃん3人とバックパッカーの兄ちゃんが酒盛りをしていた。予想通り声をかけられ,兄ちゃんと入れ替わりに僕等が酒盛りに加わることに。
先程投網で獲ったばかりという魚の素揚げと泡盛を勧められ,空腹にも関わらず飲めばたちまち酔っぱらいの仲間入り。ここで飲んだ泡盛は大宜味村にある田嘉里酒造所ということろの「まるてん(○に田と書いてある,緑の瓶)」という酒。20°ということもあり,かなり飲みやすくて美味しい泡盛だ。ちなみにこの酒造所ではその他に「くいな,やんばるくいな,ぶながや,くんじゃんサバクイ」等の銘柄を作っている。
おっちゃんらはボケ,つっこみ役+クールというなかなか理想的な組み合わせで話も弾む。その中の一人は「30年間トラックの運転手で日本全国を走り回っていた」というだけあり,僕や姫の出身地の話にも花が咲き,また,歴史や沖縄の話なんかでも盛り上がった。こういう地元の方との出逢いもいいよね。しかし,このまま飲んでいるといつまで続くか分からない。13時前に「午後は野生生物保護センターに行きますので」と言ってひとまず離脱。
結局僕が飲んだ泡盛は4合程。空きっ腹にこれだけの量を飲めばヘロヘロになるのは当然だが,そんな状態で移動をすれば余計ひどくなるのもこれまた然り。とりあえず食事を・・・ということで道の駅にあるレストランで昼食。そばセット(そば+ジューシー)はまあまあの味だった。
食後は比地にある「やんばる野生生物保護センター」へ。ここは環境省の施設で,やんばるの野生生物を保護するための生息環境保全や,基礎的な研究のデータや活動を地域内外の人にも分かりやすく解説し,やんばるの自然の豊かさを身近に感じてもらうことを目的としたもの。
「ヤンバルクイナとかが飼育されれているのかな?」等と思われる方もいるかもしれないが,ここはそういった施設ではなく,やんばるや各地の自然に関する情報が数多く展示されているところだ。僕はやんばるを初めて訪れた2年半前から,こちらへ来た際は必ず訪れて半日は居座ることにしている。ちなみに,環境省による同様の保護センターは日本各地に点在している。
受付のおばちゃんは僕のことを覚えていてくれて,今日は自然保護管の方に紹介までしていただいた。その方はS志さんという,僕と同じ大学出身(といっても学科は異なるのだが)の男性。以前から「同じ大学出身の方がいる」ということは知っていたのだが直接お話をする機会には恵まれず,今日初めてご対面ということになったのだ。
S志さんからはマングースや捨て猫等の移入種問題,米軍基地におけるヤンバルテナガコガネの密漁,保護センターの地元密着性,林道の是非等,やんばるの様々な現状についてのお話をしていただき非常に有意義だった。またその中で,やんばるにおける気象要素観測点の少なさに対して「(林道における周辺の乾燥化問題等を議論するために)もっと多くの場所に観測点を設けたい。集落ごとでも気候パターンは異なるだろうし(でもそれにはお金が足りない)・・・。」と言われていたことが印象的だった。
S志さんは30分ほどでお仕事に戻られたので,その後は16時までセンター内の本を読んだり日記を書いたりして入り浸る。この時期は訪れる人も少なくてのんびりできるいいところだ(夏休みは地元の子供達の溜まり場になるしいが・・・)。
16時を回ったところでセンターを退館し,道の駅へ。この時間になると酔いはようやく醒めたのだが(遅すぎ?),今度は寝不足による睡魔に襲われて,道の駅内の椅子で30分ほど寝込んでしまった。その後は辺土名(道の駅のすぐ北にある国頭一の集落)のスーパーで魚フライ&もずく&豆腐を買い,夕食のためテントに戻る。すると昼間飲んだトラックの運転手をしていたというおっちゃんが今度は別のおっちゃんと共に軽ワゴンで登場。「ドライブに行こう(というか,いくぞ)」ということになり,半ば強制的な気もするが折角なので乗せてもらう。
辺土名の集落周辺をぐるりと回り,綺麗な夕日を見た後は僕等のテントの横を流れる比地川の対岸で宴会をしていた地元のおっちゃんらに合流。8人くらいのおっちゃんに囲まれ,昼と同じ魚をいただき(刺身&フライ),しばし宴に混ぜてもらう。ウチナーグチ(沖縄弁)はやはり分からなかったが,それでも一緒に色々な話をすることができて楽しかった。
そんな中「この半地には野球場やゴルフ場(ゲートボールだったかな?)が作られる」という話を聞いてかなりびっくり。以前は(今もかな?)鳥見スポットとして良く紹介されるこの半地にも工事の波が押し寄せているとは・・・。着工は来年(?)らしく,今後は周辺の自然環境&ここでのキャンプが微妙になっていくかもしれない。地元の方にとっては仕事が入るわけで嬉しい方も多いかもしれないが,やはり開発によって奪われる物の方が心配で仕方ない。
宴を離れてからは近くの民家へ行き,「バンジロー」なる果物を頂く。バンジローと聞くと「大五郎」を連想してしまう僕であるが(ってそんな人はいないか・・・),どんな果物かというとそれは「グァバ」である。ここではグァバと言うより台湾における呼び名「蕃石榴」をそのまま用いる事の方が多いようだ。味はというと特に強い甘みも酸味もなく,すっきりはしているのだが種がちょっと邪魔で美味しい!とバクバク食べるような物ではないかな。ちなみに今ヤクルトから発売されている「蕃爽麗茶」の蕃はバンジローの蕃だろう。
おっちゃんにはテントまで車で送ってもらい,それからようやく食事。今夜は風がなくて外にいても暑い。もちろんテント内は最悪。熱さまシートを張っているのだが効果は雀の涙ほどのもの。眠れない日が続く・・・。
<今日見た鳥>
ダイサギ クロサギ カラスバト(声) キジバト ズアカアオバト(声) アカショウビン(声) ノグチゲラ コゲラ ツバメ リュウキュウツバメ サンショウクイ ヒヨドリ アカヒゲ イソヒヨドリ ウグイス セッカ サンコウチョウ ヤマガラ シジュウカラスズメ ハシブトガラス
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