夜は放射冷却でかなり冷え込み,テントの中にいても「今までより寒い」と感じるほど。どうやら鶴居は6度近くまで冷え込んだらしい。さすが内陸。今朝は久しぶりの快晴で雲一つない,最高の天気だ!湿原を巡る日にはぴったり。
昨日は湿原の西側を北上してきたので,今日は荷物をキャンプ場に置いたまま東側へ行ってみることにする。東側はどちらかというと「メジャーな釧路湿原」。去年は行っていないので楽しみだ。
まずは釧路湿原の北部にある「コッタロ湿原」へ向かう。鶴居からは農道を通ってショートカットができるのだが,この道が結構きつい。車はほとんど通らなくて快適なのだが,12qほどの道の中,5つ近くのアップダウンを抜けなくてはならない。天気が良いから気持ちがいいものの,雨の日には絶対走りたくない道だ。
そんな道を通って行くコッタロ湿原だが,ここは釧路湿原の一部でありながら「コッタロ湿原」と呼ばれ,特別扱いの湿原になっている。何故かというと,この地区が大量の湧き水で支えられていて,釧路湿原の原風景といえるものだからである。あとは,この区域にある道路だけが,釧路湿原を取り巻く主要道の中で唯一ダートになっているというのも特筆すべきことかもしれない。
さて,コッタロ湿原には展望台が3つある,とガイドブックには書いてある。・・・しかし,その中で一番行きたい展望台が見つからない。仕方ないので入り口にトイレのある,最もメジャーな「第1展望台」へ行くことに。その周りでは大量のエナガとアカゲラに出くわした。小鳥が非常に多い。
展望台までは急な階段を上るのだが,そこからの景色は素晴らしかった。釧路湿原の写真といえば川の蛇行のイメージが強いが,ここはそれとは一味違った素晴らしさがある。
厚岸で会ったライダーさんは,コッタロ湿原の印象を訪ねると「ずっといてスケッチをしたくなるくらい素晴らしい景色」と言っていたが,まさにその通り!今回の旅で一番の景色ではないだろうか。もちろん,晴れた日に訪れたというのも大きな要因だけど。
しばらくコッタロに見とれた後は次の展望台に向けて出発!今度は釧路湿原最大の湖である塘路湖を眺めることのできる「サルボ展望台」。・・・とその前に先程も述べたダートがある。ダートといってもかなりフラットで走りやすい。今日は車もそれほど多くなく,なかなか快適な道だ。向かいからはJR塘路駅で借りたマウンテンバイクに乗ってくる人がいる。数人とすれ違ったが,皆ダートの方に集中しきっていて挨拶どころではないようだ。確かに,普段自転車に乗らない人にとっては集中しないと転びそうになるかもしれないなあ。
道の両側にある湿原にはノビタキが多い。5qのダートを楽しんだ後は国道391号に合流し,サルボ展望台へ。階段を上っていくと,今回ようやく出逢えた生き物が。エゾシマリスだ。僕らのすぐ側にいてなかなか逃げなかったのでじっくり見ることができた。姫は初めて見る野生のエゾシマリスに大喜び。よかったよかった。
さて,次はサルボ展望台を降りて塘路駅へ。今日はここに自転車を置いて電車で二駅ほど南にある釧路湿原駅へ行くのだ。近いので自転車で走ってもいいのだが,たまには列車もいいでしょう。それに,この時期だけの特別列車として日本一遅い列車「ノロッコ号」が運転されているのだ。これに乗らない手はない。
塘路駅周辺には小さな商店しかなかったがそこで昼食を買い,ノロッコ号に乗り込む。車内は木で作られていて落ち着いた雰囲気。バスガイドならぬ列車ガイドのおねえさんの説明を聞きながら列車は進む。
途中釧路川の真横を通るときは速度を落とし,湿原内にタンチョウを発見(といっても1qほど先にだが)すれば列車はほぼ停止して乗客が総立ちになったりと,こういうのもなかなかいいなと思ってしまう。乗車証明書なんかももらえたし。20分ほどで釧路湿原駅に到着。
ここでの目玉は「細岡展望台」。駅から歩いて10分ほどの所にあるこの展望台,交通の便が良いのと釧路川の蛇行を見ることができるということがあって,釧路湿原では一番のビュースポットかもしれない。しかしそんな細岡展望台,僕自身は行ったことがなかった。写真で見る限りはなかなかのもの。ちょっと期待して展望台へ。
その景色は写真で見たのと同じだった。釧路川の蛇行が目の前にあり,湿原の広がりを十分に実感することができる。視界に人工物は全くなく,これなら観光客が多いのもうなずける。ただ,川までの距離がちょっとあり,展望台の標高がそれほど高くないため,蛇行を真上から見下ろすような感じではない。やはり,釧路湿原の中でも秘境と呼ばれる「宮島岬」「キラコタン岬」には勝てないなあと思った。ちなみに,〜岬とつく理由は,湿原の中に岬のように突き出した場所であるためらしい。僕は去年宮島岬に行き大感動したのだ。
帰りはビジターセンターでアイスを食べて駅に戻る。塘路駅までの帰りは普通の列車で。観光列車に乗るのもいいけれど,ワンマン列車も捨てがたい。
時間は15時。あとは来た道を引き返すだけ。普段だったら同じ道なんて楽しくないが,今日は天気も抜群,景色も抜群のために気分良く進める。鶴居に戻ったのは17時過ぎ。キャンプ場には女満別から来たチャリダーのおっちゃんが来ていた。摩周湖周辺の話などを聞き,夕食をとったあとはグリーンパークへ。多くのアップダウンを越えた疲れも温泉で癒され,最高の一日だった。
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