きらら浜への鳥見旅
12月23日 晴

今年も残すところあと半月。卒論で忙しい毎日を送っているが休日くらいは鳥見に行きたい。ということで,今日は山口までちょっと遠出をすることに。今は18きっぷが使える季節。そこで年末の出水も考慮して購入し,箱崎駅5:01の始発列車に乗っていざ山口へ!さて,今日の目的地は山口県阿知須町きらら浜。ここは昨年行われた「きらら博」跡地に隣接した,河口部にある自然観察公園だ。先月からオオモズ,オオカラモズ,アカツクシガモなどの珍鳥をはじめとして,チュウヒ,ハイイロチュウヒ,コミミズク,マガン,クロガモ,コハクチョウなど多くの鳥で賑わっているらしい。ヨシ原での探鳥自体ほとんどしたことない僕と姫にとって魅力的なフィールドだ。 きらら浜自然観察公園の一部。

今回の交通手段はもちろん自転車なのだが,きらら浜までのアクセスは輪行を使うと非常に便利だ。山陽本線本由良駅から10km弱の道のり。ただ,この間最短距離を進むとコンビニはない(途中食堂はある)のでちょっと注意(もっと近くにも阿知須駅などがあるのだが,こちらは宇部もしくは小郡まで行って宇部線に乗り換えないといけないのでその時間を考えると自転車を持っていくのなら無駄だろう。ちなみに阿知須駅からきらら浜は約3km)。

電車の輪行は久しぶりだが,荷物が少ないとかなり楽。いつもなら輪行バッグにテントやマットなどを詰め込めるだけ詰め込むが今日はそんな必要はないのでかなり軽い。数回の乗り換えをして本由良駅に着いたのは7:41。外はかなり気温が低く,空気が澄んでいて気持ちが良い。天気の方も久しぶりの好天に恵まれ,絶好の鳥見日和の予感に心も弾む。

きらら浜まではほぼ一直線の道のり。オオカラモズはまだいないだろうとは思いつつも,周りに注意を払いながら先へ進む。ジョウビタキやモズ,シロハラなどを見ながら進み,きらら浜に着いたのは開園の9時ちょっと前。入り口にはレンジャーとおぼしきおじさんがいる。話をしてみると,どうやらコホオアカがいるらしい。僕らはGWの対馬で見ているが,そうそう見ることのできないこの鳥をおじさんと一緒に探す。どうやら結構な数がいるようだ。きらら浜の最近の様子や周辺の鳥見ポイントなどの話をしてとりあえずはビジターセンターへ行ってみる。ここは入館料200円をとられるが,他のレンジャーさんとも話ができるかもしれないし,せっかくなので入館。 淡水池&ビジターセンター。

館内にはフィールドスコープがずらりと並んでいてちょっとびっくり。目の前の池にはコハクチョウ。ここからの鳥見もなかなかいいかもしれないなあ。しばらく館内のスコープで遊んでいると,遠くからカモの群が飛んできた。ちっちゃいからコガモかな?・・・と思い見ていると,さきほどのレンジャーのおっちゃんが「トモエガモ!」と叫んだ。その数は70+。しかし,僕には飛んでいるその姿からはトモエガモと同定できない。しばらくするとビジターセンターの先にある調整池へ降りたようなのでさっそく行ってみることに。

調整池は周りをフェンスで囲まれたその名の通りの調整池。カモは結構入っているが,人影を見ただけですーっと逃げていく。こんなにもすぐ逃げるカモとはあまり会ったことがないのでちょっとびっくり。でも,オープン当初はもっとひどかったらしい。できたばかりなので警戒心が強いのだろうか。さて,お目当てのトモエガモだが・・・どこをどう探してもいない。どこへ行ってしまったんだー。それならばとオオホシハジロを探すが,どうやらこちらもいない模様。残念だが仕方がない。センターへ引き返そうとも思ったが,ついでなので公園内を一周してみることに。

ヨシ原周辺ではオオジュリンやホオジロ,カシラダカが結構いる。ホオジロ類の冬羽は初心者の僕には見分けがつけにくいが,これを機にと双眼鏡をのぞき,図鑑とにらめっこ。でもやっぱり難しい。

調整池の周りををぐるりと歩き,ここで一息。池へとつながる(?)水路をはさんで向こう側には河口が広がっている。肉眼でもカモたちが結構いるので,もしかしたらと思いスコープをのぞくと・・・
「いた!」
さっきのトモエガモ,どうやらこちらに降りたらしい。70とはいかないが,ざっと見でも20羽。初めて見るトモエガモに感激。先日今津で探しても見つからなかったので,ここで見ることができて嬉しい。他にはマガンが13羽。

トモエガモの群れに感激!

休憩後は引き続きヨシ原へ。コジュリン?と思われる個体もいたが自信はなく,撮った写真はホオジロとの答え。もっと勉強しないとなあ。

それにしても今日は素晴らしい好天だ。昨日の強風が嘘のよう。雲もほとんどなく,気持ちがいい。そんな中,次はポイントを移動しようかと自転車の方へ向かっていくと,僕らの横を大きめの鳥が飛んだ。
「オオカラモズ!」
この公園内に1個体はいると聞いていたがなかなか見つからず,もう一つのポイントへ行こうとした矢先に飛んだオオカラモズ。100メートルほど離れたところに止まってくれたのでスコープをのぞく。・・・でかい!かっこいい!。モズ好きの僕には感激の瞬間だ。しかしデジスコをするにはちょっと遠い。ピント合わせに苦労していると,姫が空を見上げて叫んだ。 このオオハクチョウは足を痛めているらしいです。

「チュウヒ!」
同時に出られるとどっちを見るべきか非常に困る。とりあえず双眼鏡でのぞき,オオカラモズの写真を撮りたいので再びスコープへ。・・・しかしオオカラモズはすぐに飛んでしまった。あ〜あ。そして僕が見ていない間にチュウヒもロスト。初ヒットが同時に出るなんて,嬉しい悲鳴だ。

その後は公園入り口でコホオアカを撮っていた地元の鳥屋さんと少し会話。すると目の前をハイイロチュウヒ♀が横切る。今度は双眼鏡でじっくり観察。こちらも初ヒット。チュウヒ類を見るのは初めてなので,翼をV字にしている姿にしばし見とれる。こちらもオオカラモズに負けず劣らずかっこいい。

さて,ちょうど昼になったので淡水池に移動してきたコハクチョウを撮り,ここへ来る途中にあったトンカツ屋へ向かう。数km戻るので本当は弁当を買ってから来る方がいいかな。

トンカツ屋では外の看板に載っていた「ロースカツ定食」880円を注文。特大と書いてあったのでどれくらいでかいか期待して待つ。しばらくして出てきたトンカツは「特大」の名の通りでかかった。味はまあまあといったところ。北海道は中標津の特大トンカツを思い出す。女性にはちょっときつい量だろう。かくいう僕も,最近食が細くなりつつあるため自分の文でお腹いっぱい。姫が残した分を平らげると,「もう数ヶ月はトンカツいらない」と思うくらい満腹になった(そう思った数日後には早速カレー屋でカツカレーを注文している自分がいるのだが・・・)。 アトリは本当にたくさんいました!

食後はもう一つのポイントである山口市深溝へ。こちらにもオオカラモズは1個体いるらしく,鳥相はきらら浜よりも濃いらしい。距離もきらら浜から5kmほどと遠くなく,自転車でも余裕で行くことが出きる。途中のローソンで夕食を買い,深溝到着は14時過ぎ。まず出迎えてくれたのはアトリの大群。100以上が電線にずらりと並んでいる。オオカラモズは遠くに見えるがそこは後回しにしてポイントをぐるりと回ってみる。遠くにはハイイロチュウヒ♀が旋回していていい感じ。鳥相は想像していたものよりは濃くないが,小鳥類も結構いるようだ。

しばらくして先ほどオオカラモズがいた場所へ行ってみるとそこは既に藻抜けの殻。残念だが,「さっき見ているしまあいいか。」と納得させ,16時が近づいてきたので再びきらら浜へ戻ることに。朝,レンジャーのおじさんに「16時以降ハイイロチュウヒがよく見られるよ」と教えていただいたのだ。雌はもう見たのに贅沢かもしれないが,せっかくなので雄が見たい。先に河口部へ立ち寄り,午前中に見たトモエガモの群れをもう一度観察した後ヨシ原へ。・・・しかしチュウヒ類が飛んでくる気配はない。気温も下がり始めて「そろそろ撤収かなあ」と思いかけたその時,少し遠くへ行っていた姫が急に走ってこちらへ向かってきた。「ハイチュウ出たか?」と期待したが,ハイチュウではなくてオオカラモズを再び見つけたとのこと。嬉しい期待はずれに,僕も急いで姫の所へ向かう。 オオカラモズ。大きくてかっこいい!

今度はオオカラモズまで数十メートルとかなり近い。暗くなってきているのと前に枝があって邪魔なのとで写真は難しいが,それでもなんとかカメラに収めることができた。ハイイロチュウヒは出なかったが,日暮れの17時まで存分に鳥見を楽しむ。

その後は,17時を周りビジターセンターが閉館したのに合わせて僕らも撤収。帰りは再び本由良駅へ行き,18:09の電車で福岡へ。吉塚到着は20:51。早朝から夜まで時間をフルに使っての探鳥は結構体力を消耗するが,充実した一日となって本当によかった。

<今日見た鳥>
カワウ
カンムリカイツブリ
カイツブリ
ダイサギ
コサギ
アオサギ
マガン
コハクチョウ
マガモ
カルガモ
ヒドリガモ
オカヨシガモ
ヨシガモ
オナガガモ
ホシハジロ
キンクロハジロ
スズガモ
トモエガモ
ツクシガモ
ウミアイサ
オオバン
イソシギ
ハマシギ
シロチドリ
ユリカモメ
ウミネコ
セグロカモメ
ズグロカモメ
ミサゴ
トビ
チュウヒ
ハイイロチュウヒ
チョウゲンボウ
ハヤブサ
ハクセキレイ
モズ
オオカラモズ
ヒヨドリ
ツグミ
シロハラ
ホオジロ
コホオアカ
カシラダカ
オオジュリン
アトリ
カワラヒワ
スズメ
ムクドリ
ハシボソガラス
ハシブトガラス

BACK