自転車って楽しいの?

どうして君は自転車によく乗るの?楽しい?

人と話しているとこのような話題になることが結構あります。答えは簡単,「自転車(そのもの)が好きだから, 自転車に乗るのが楽しいから,気持ち良いから」。でも,どこがどう楽しいのか?何故自転車に乗って気持ち良いのか? ここでは,自転車の楽しさを少しでも伝えられるように,そして「自転車(できればスポーツ車)に乗ってみたい!」と思ってもらえるように書いてみたいと思います。

まず,多くの人が持つであろう,自転車,というか「チャリンコ」に対する印象とはどのようなものでしょう?

  • ちょっとしたところへ行くのに便利。
  • よく盗まれるけど,安いからまた買えばいいや。
  • 大の大人が乗るなんて格好悪い。学生や主婦が乗る乗り物。
  • 違法駐輪,2人乗り,信号無視,車道逆走等マナーの悪さが目立つ。
  • チャリンコは大人しく歩道走ってろ。

大体こんなところではないでしょうか。しかし,これらだけが自転車の本来の姿だとすれば,私のように毎日片道14kmの通学に使ったり, 旅行の手段が自転車という人がいるはずありません。上記の5点に関してはまたの機会に詳しく触れることにしますが,私の自転車に対するイメージとは,
「ちょい乗りだけではなくてどこへでも行くことが可能で,自由や解放感,季節感,種々の問題等を体中で感じることのできる乗り物」
です。「どこへでも行ける」理由は,スポーツ車に乗ったり,後述する「輪行」を駆使することによって可能となります。 自転車に乗って感じる自由や解放感とは,例えば満員電車からの解放感,電車の時間を気にしなくていい自由,走っていて気になったところがあればすぐに止まることのできる自由。 季節感とは走りながら感じる土地の香り,気温,植物や鳥の移ろい。種々の問題とは自転車を取り巻く環境に留まらず, 大袈裟かもしれませんが物質社会の功罪や自分自身の生き方について等。

「自分が生きていることを思いっきり実感できる乗り物」と言えばわかりやすいかもしれませんね。

では,そんな自転車の利点についてもう少し具体的に見てみようと思います。6つ程挙げてみます。

(1) 純粋に乗ることが楽しい。穏やかな晴天日に田舎道を走るのは最高。
まず,これはそのままの意味です。初めて自転車に乗れた時の気持ちを思い出してもらえばわかると思います。 思い出せなければ天気の良い日(できれば春か秋)に郊外でサイクリングをしてみれば思い出すかも。
(2) 何と言ってもご飯が美味しい!ダイエットなんかするよりよっぽど健康的。
「15km/hで20分走ると150kcal消費」と言われるように,自転車は結構カロリーを消費する乗り物です。 だからご飯が美味しいのは当然のこと。しかも,それだけ動いているのだから食事を制限する必要なんてありません。 ただ,ここで自転車によるダイエットについてちょっと触れておきますが,明らかな肥満の方の体重を標準体重+5kg位まで落とすことは可能でも, それ以上はなかなか難しい気がします。とはいえ体脂肪率は間違いなく落ちるでしょうし,「逆に足が太くならないか」と心配する人もいますが, よっぽどハードな乗り方をしない限りその様なことにはならないと思います。また,体重以外でも風邪を引きにくくなる他, 中性脂肪値,コレステロール値,尿酸値等の改善にも効果があるようです。私自身の体験では,今まで年に数回は必ず38℃以上の熱を出したり, 風邪で寝込むことがあったのですが,往復30km弱の自転車通学をするようになってそのようなことが一切なくなりました。
(3) 都市においては最も速く,且つ自由の利く交通手段。
都市における自家用車やバス,徒歩等の速度と比べると,5キロまでは自転車が最も速い交通機関であるということが知られています。 また,電車やバスの待ち時間を気にする必要がなかったり,渋滞にも巻き込まれにくいので精神的には「時間」以上に解放感を感じるという意味でもよろしいかと。 都市においては,徒歩の4倍以上の速度が出て,且ついつでもどこでも止まれることを考えると,自由度の最も高い乗り物だと思います。
(4) 燃料費等の維持費はかからない(食料がガソリン!)。
人力だから当然燃料は食料!そう言うと維持費がかからないというのは嘘になってしまうかもしれませんが, 美味しいものが燃料になるなんて素晴らしいと思いませんか?また,燃料費以外でも車と比べると駐車場代,車検代,保険代等,かなりの節約が可能です。
(5) 車中心の生活では感じることのできない季節感が存分に味わえる。
これは実際に自転車をよく利用するようにならないとわからないかもしれません。逆に言えば,そうなれば必ずといっていいほど感じると思います。 (本当は徒歩が一番だとは思いますが)先にも書きましたが,車中心の生活では見えないものや感じることのできないものを溢れんばかりに感じることができる。 自転車に乗る一番のメリットはこれかもしれません。
(6) 輪行袋(自転車をバラして収納し,他の交通機関で運ぶために使う袋)さえあればどこへでも行ける。
最後に,これはちょっと特殊かもしれませんが,自転車を「輪行袋」と呼ばれる専用の袋に収納し,電車や飛行機,船などで運ぶこと。 これによって世界中のどこへでも移動が可能になります。例えば旅行。旅先で自転車を借りるのも一つの手ですが,乗り慣れた自分の自転車であちこちを回る楽しみ, これは病みつきになること間違いなしです。

・・・簡単ですがそれぞれのメリットについて説明してみました。しかし,自転車は良いことばかりなのか?いやいや,そんなはずはありません。 もちろんデメリットだってあります。例えば,

(7) 汗を掻く(そんなの当たり前だけど)ので,特に通勤通学では着替え等を考えないといけない。
「汗」という問題は,「自転車に乗ること」=「かなりの運動」ですから避けることはできません。化繊の服を着たり, 荷物を背負わないようにしても運動すれば汗は掻きます。着替え等を用意しておけば,気持ちの良い汗が掻けて苦にならないと思いますが, 「化粧が落ちる」等言われると私は返す言葉がありません・・・。
(8) 悪天候の日や荷物が多い時などは「車の方がいいな」と感じる。
これも(7)同様,自転車だから当然のこと。悪天候の日は安全面からも無理に乗らない方がいいですね。
(9) 事故の際の被害が車等と比べると大きくなりやすい。
これに関しても自転車の宿命といったところでしょうか。自分の不注意で事故を招かないよう注意するしかありませんね。
(10) 自転車に乗る際の服が限られてくる。オイル汚れを覚悟しないといけない。
これは結構大事な問題かもしれませんね。オイル等による汚れを考えると,自動的に黒系の服に偏ってしまいます(←汚れを隠しているだけですが)。

ここまで読むと,逆に乗る気がなくなってしまったでしょうか?でも,ここでいくら理屈をこねたって自転車の良さはわからない。

とりあえずは今お持ちの自転車で構いません。天気のいい休日なら家の周囲を20キロ程サイクリング,平日ならば職場や学校に自転車で行ってみてください。 今まで見えなかったもの,感じることのできなかったことを体感できるはずです。そして「気持ちよかった。おなかすいたー」と感じることでしょう。 そんな状態で食べるご飯はもう最高!ダイエット中だから・・・なんて気にする必要はありません。自転車に乗ってお腹が空いたのなら, それだけエネルギーを消費したということ。

そして,知り合いにスポーツ車を持っている人がいたら是非ちょこっとでも乗せてもらってみてください。シティサイクル(ママチャリ)の感覚で乗ると, その違いに驚くはずです。いや,決してシティサイクルを非難しているわけではありません。シティサイクルはシティサイクルの良さがあるわけで (例えば長時間乗ってもお尻が痛くならいとか。ってそんなのはサドルを換えれば済む話か・・・)。ただ,ロードバイクやマウンテンバイクをはじめとするスポーツ車 (ホームセンターなどで売っている,いわゆる「ルック車」は当てはまりません。これについては別コーナーで述べます)は, 乗ってみれば「軽さ」を必ずといっていいほど感じるはず。だから,ペダルを漕ぐのが楽で楽しい。スピードもちょっと漕ぐだけで20km/hオーバー。 幼い頃,初めて自転車に乗れた際には「これでどこへでも行ける!」と感じて自転車が大好きになったという経験を多くの方が持たれているかと思いますが, そんな気持ちをきっと感じることができるはずです。